メールが主体になった今、「手紙は面倒」という声を聞きます。裏を返せば面倒だからこそ「わざわざ書いてくれた」という感動を伝えられます。「面倒なものがある世の中」とは「面倒なことをすれば感動を伝えやすい世の中」とも言るのです。だからこそ今更聞けない「手紙のマナー」を押さえておきましょう。

TEGAMI
手紙を書く前に知っておきたいこと

親しい友人や気さくな間柄の方との手紙のやり取りでは、改めてマナーがどうのという話はないでしょうが、会社の上司や目上の方に出す場合、あまり礼儀知らずの手紙では、常識を疑われことにもなりかねません。ひととおりの形式は理解しておきたいものです。

手紙というのは基本的に

  1. 前文(書き出しの言葉+安否の挨拶)
  2. 主文(手紙の本題)
  3. 末文(終わりの挨拶+結びの言葉)
  4. あとづけ(日付+署名+宛名+敬称+わきづけ)
  5. 副文(追伸)

の5つの文章から成り立っています。

この構成は、長年にわたって磨き上げられ、完成したものですから、初めて手紙を書く人もこれに従って書けば、一応カタチの整った文章になります。無 難な手紙や格式ばった手紙には、この定石が役に立ちますから、覚えておくとよいでしょう。文中で、相手の名前や敬称が行の一番下になる場合や二行に分かれ るようなときには、失礼にならないよう次の行から書き始めるようにします。同様に、「私」が行頭にくる場合には、一字分下げて書くことになっています。

表書きは、楷書の読みやい字で

封筒の表書きは、まず読みやすいことが大切です。

宛名の書き方

◆◆洋封筒◆◆

洋封筒の場合、切手は右上に貼ります。郵便番号は縦書き封書と同じ向きで。宛先の住所は、漢数字でなく算用数字で。宛名は縦書き同様に、住所よりも一回り 大きくていねいに記入します。裏面は、封筒の下中央に、横幅の3分の1に収まるように住所・氏名を書きます。便箋は封筒の大きさに合わせて、三つ折りもし くは四つ折りに。
 
◆◆和封筒◆◆
封筒に記された宛名は、手紙の第一印象を決める大切なもの。一字一字に心をこめて、ていねいに。特に相手の名前は、崩したりせずに、きちんと楷書で書くこ とを心得て。宛名は中央に大きく、住所よりも一段下げて。会社名は(株)(有)などと略さずに、株式会社、有限会社と正式名称で書きましょう。
 
欧米では、ビジネスレターなどは宛名も書面もパソコン出力が一般的な場合もありますが、署名のみ、直筆のサインを必ず添えましょう。

封書の場合、差出人の住所は裏側に

封筒裏中央の継ぎ目を挟んで、右側に住所、左側に氏名を書きます。目上の人へ出す場合には、住所・氏名ともに継ぎ目の左側に書いて下さい。封をしたところには普通、「〆」や「封」と書きますが、お祝いの手紙でしたら、「寿」や「賀」と書くと趣があってよいでしょう。

知っていると便利な「忌み言葉」

手紙を書く場合、使うと相手に対して失礼になる言葉があります。いわゆる「忌み言葉」と呼ばれているものですが、お祝いの手紙では、「死ぬ」「滅び る」「切る」「別れる」「倒れる」「さびれる」「つぶれる」「落ちる」など。弔電では、「返す返す」「重ね重ね」「再び」等がそうです。これは結婚の場合 にも「忌み言葉」として嫌われますから注意しましょう。

封筒、便箋とインクの色

慶弔いずれの場合にも、白の上質封筒と便箋を使用するのが最高とされています。インクの色は黒またはブルー系のブラック、筆で書くときには、お祝い は濃い墨で、不幸のときはちょっと薄めの墨で書きます。ただ、子供や親しい友人宛のお祝いなら、デザインのあるものを選ぶのもセンスです。